インドネシアは他の国とは違った独特なフレーバーを感じ、それがクセになる人も多いかと思います。
力強く、アーシーな風味はどうして生まれるのでしょうか。
今回はその要因となる精製方法について解説します。
歴史的背景
まずは、インドネシアで使用される精製方法は「スマトラ式」と呼びます。別名「ウェットハル」とも言います。「ウェット=濡れた」+「ハル=外皮を剥く」と言う意味です。また、現地では「ギリング・バサー」と呼ぶそうです。
※日本では主にスマトラ式がメジャーなので以降はそう呼びます。
なぜ生まれたか
諸説は様々ありますが、主には2つあります。
1つ目は気候によるもの。日本と同じアジアに分類されますが、四季はありません。雨季と乾季があり、湿度がかなりあります。豆を乾燥させるのには通常2〜4週間ほどかかるところ、インドネシアでは5週間以上もかかるそうです。
2つ目は経済的要因があります。乾き切るまで待つと時間がかかり、お金を貰うことが遅れます。早くお金が欲しく生乾きのまま次の業者に渡して換金をするそうです。
この2つの理由から、今でもメジャーな手法となっています。
作業工程
工程はパルプドナチュラルに近く、仕上がりは独特な深緑色になることが特徴的です。
インドネシアは水源にかなり恵まれている島国なのでコーヒーを作るのに適した土地柄です。
流れ
ざっくりとした流れは以下の通りです。特徴は予備乾燥があることです。
- 収穫します。
- 果肉を除去します。
- 除去した果肉を天日干しします。
- パーチメント(コーヒー果実の種子)を取り除き生豆にします。
- 生豆にし、天日干しで乾燥させます。
スマトラ式として特性が起きるのは工程3から5になります。3番の予備乾燥の時点で生乾きになり、4番で生乾きのまま脱穀されます。そして最終的に2度乾燥します。
味の特徴
このスマトラ式には他の精製方法には無い独特なものがあります。以下、メジャーなフレーバーをまとめました。
- 深みがあり、コクが重くどっしり
- エキゾチックな風味(パイナップル、マンゴー、パッチョンフルーツなど)
- スパイシーな風味(シナモン、クローブなど)
- 大地のようなアーシーな風味
- 若草のような爽やかなハーブ感
SCAからの評価
実を言うとSCA(スペシャリティー協会)からの評価は高くありません。
なぜかと言うと、生乾きによるカビの発生が起因します。水分を含んだ状態での長期保管や他業者間の輸送によってカビが発生する恐れがあり、SCAからの得点はマイナス評価になりがちです。
国内の卸業者のG1(最高グレード)の豆はカビ臭のあるものはあまり無いので安心して飲んでいただけるかと思います。
まとめ
土地柄、精製段階で生乾きなことで独特なフレーバー生まれます。インドネシアの豆は深煎りにすることでその特徴を最大限まで活かせるので国内での多くは中深煎り以上を多く見かけます。レイヤーがありコクを十分に感じられるので固定のファンがいます。
ただ、質はピンキリです。グレードの表記がないものの多くはややカビ臭や土っぽさが際立って感じられます。豆を選ぶ際にはG1を選ぶことをお勧めします。