独特な甘味や酸味を持ち、非常にフルーティーで奥行きのあるケニアには多くのファンがいます。私もその中の1人で、一番最初の衝撃の走ったコーヒーはケニアでした。今でも忘れられない、蜜柑のような甘さのある味を覚えています。
今回は多くのカフェやロースタリーで扱うことの多いケニアについて深掘りしていきます。
歴史
歴史の始まり
始まりはそこまで長くはなく、19世紀の終わり頃とされています。カトリックの宣教師が1890年代にレユニオン島(ブルボン島)にもちん込んだことでスタートしました。
コーヒーの栽培に必要な条件がキリマンジャロ付近に適していることが分かり、ケニアに定住し栽培が始まりました。
宗教的に自由を求めてやってきた多種多様な人種や民族が移動してきたために、キリマンジャロの南側に28箇所ものプランテーションが存在したそうです。
キリマンジャロ周辺の農地はアフリカ民族とヨーロッパ人の協力体制が成立しており、栽培や販売を行うのはアフリカ民族、それに対してヨーロッパの人々が助言をすることで良質なコーヒー豆が育ったとされています。
ケニアではコーヒーは一大産業であり、栽培方法や病気の研究がされており、現在では世界有数の高級豆としてブランド化しています。
コーヒー局の設立
1933年に珈琲業界に法令が制定された翌年、1934年にケニアコーヒー局(Coffee directorate)が設立されました。
コーヒー局では主にマーケティングを行う機関であり、規則を遵守する役割を担っています。同時期にケニアのコーヒーのオークションもスタートしています。翌年にリカー部門が立ち上がり、グレードごとの品質の管理などを行なっていきました。
高い品質を保ち続けているのは、紛れもなくこう言った機関の設立を早くに設けたことも起因しているのでしょう。
産地特性
主な生産地
ケニアのコーヒー豆の70%の生産量を栽培しているのは中央地区(ニエリ、ムランガ、キリンヤガ)、残りの30%が東部地区のマカコス、西武地区のブンゴマです。
標高と気候
標高は1280m〜2300mと広く高い分布を誇るケニア山(Mount Kenya)を中心に良質な土壌を持ち、高品質なアラビカ種を栽培が可能となります。
また、2回の雨季があります。そのため2期に栽培が分かれます。2月からのメインクロップと9月からのフライクロップ(アーリー)が存在します。
平均気温は19度であり、夏は意外にも涼しいのが特徴的です。年間の雨量は1000mm未満、土壌は赤土のローム(水はけが非常に良い)です。広大で丸みを帯び・緩やかな傾斜を持った谷があることや、流れの早い川があり豊富な資源を持っています。こう言った条件が重なり、ケニアの独特なフレーバーが生み出されているのです。
精製と流通
全体の60%未満が零細農家によって成り立っています。
この零細農家は自身での精製は禁止されています。収穫されたチェリー(コーヒーの実)は登録された組合が所持する水洗工場に持ち込まれます。果肉除去(パルピング)されたのちに、約12〜36時間発酵が促され、比重選別がされていきます。そして高床式のアフリカンベットで数週間乾燥した後に選別工場に持ち込まれます。風力・スクリーン(粒の大きさ)・比重選別が行われた後にオークション・ダイレクトトレードがされていきます。
非常に管理が厳格であり、選別も細かいことが分かります。ケニアの品質が良いのは自家精製をさせないことが肝かもしれません。逆に農家ごとの個性は弱いようにも感じ取れます。
格付け
ケニアのコーヒー豆には認可された7つの階級があります。
規格(グレード) | 詳細 |
---|---|
PB | ピーベリー。1つの実に1つの種子がついた希少な豆。 |
AA | ふるいの穴7.20mmの大粒の豆。実質最高グレード。 |
AB | ふるいの穴6.80mmのAとBのコンビネーション。 |
C | ふるいの穴6.00mm。Bよりも小粒。 |
E | エレファント。非常に大きい粒。 |
TT | 全てのグレードから外れた軽量豆。エレファントのかけらも含まれる。 |
T | 未熟豆、欠点豆、最細の豆。 |
競りにかけられる際に、生豆・焙煎・抽出時の品質にさらに10段階に区別されていきます。
- 特上(Fine)
- 上等(Fair)
- 良質(Good)
- 4級にあたる中等(Fair Average Quality)
- 普通(Fair)
- 風味不足(Poor)
- 下等(Common Plain Liquors)
以上が判断基準です。
まとめ
最後に表にしてまとめてみました。
始まり | 1890年ごろ |
誰が | カトリックの宣教師 |
標高 | 1280〜2300m |
平均気温 | 約19° |
雨季/雨量 | 年に2回/1000mm未満 |
土壌 | 赤土のローム |
収穫回数 | 年2回 |
規格(グレード) | 7階級 |
カフェやロースタリーで見つけた際はAAやABなどが名前についたものがその豆のランクになるので、ぜひ見かけた時には注目してみてください。