近年、コーヒーの精製方法がメジャーなウォッシュド・ナチュラルだけでなく様々な手法で生み出されています。
その中でも比較的新しく最近目にすることが増えました嫌気性発酵を利用しました“アナエロビックファーメンテーション”と“カーボニックファーメンテーション”の2つを解説していきましょう。
発酵とは?
発酵とは微生物が糖類を分解し、アルコールや二酸化炭素、化合物などを生成することを指します。コーヒーの発酵はこの化合物が重要になっていきます。
微生物とは代表的なもので言うと乳酸菌・麹菌・酵母などのことを指します。この微生物が人間に有益に働き作用することを主に発酵と呼び、逆に悪いように作用することを腐敗と呼びます。
食材の例で言うと、味噌・ワイン・納豆・チョコレート等があり日本食には多く存在します。
抗酸化作用を持ったポリフェノールが多く含まれています。体内で増えすぎた活性酸素を除去し、体の酸化を防ぎます。また、酵素やアミノ酸が新しい細胞の生成を促す力を持ち美肌の効果もあると言われています。
好気性発酵・嫌気性発酵について
好気性(こうきせい)発酵とは、空気(酸素)のある状態で活動する微生物を利用した発酵です。麹菌や納豆菌などがこちらに該当します。古くから行われている堆肥づくりもこの好気性発酵を利用したものです。
嫌気性(けんきせい)発酵とは、空気(酸素)に触れない状態で活動をする微生物を利用した発酵です。ビフィズス菌や乳酸菌・大腸菌などが該当します。
嫌気性発酵を利用したコーヒーの精製方法について
アナエロビックファーメンテーション
英語ではAnaerobic fermentationと書き、日本語に直すと嫌気性発酵と読みます。
ナチュラルプロセスのように天日乾燥で空気に晒す発酵とは違い、種子についた酸素を嫌った微生物を活用します。
タンクや容器に種子を入れ、空気を抜くことで発酵が進んでいきます。
そうすることで通常の発酵時とは違ったエキゾチックなフルーツ感、モルツ・ワインのようなお酒、シナモンのようなスパイスを感じられます。
カーボニックマセレーション
具体的な精製方法は、以下のようになります。
- チェリーをパルピング
- ステンレスなどの密閉容器に入れる
- 二酸化炭素を充填していく
一貫性のある管理された環境下に置くことで、コーヒーの持つフレーバーを発達させていきます。
ワインのボジョレーヌーボの精製方法を応用したやり方として生まれました。
管理が非常に難しく安定した数を生み出せないので貴重で高価になります。
アナエロビックと似たようなフレーバーですが、カーボニックはより強烈な甘みと果実感が味わえます。近いもので例えるとラズベリー・巨峰・パインなど挙げられます。
まとめ
- アナエロビックは密閉容器に蓋をし、無酸素状態にして嫌気性発酵を促すこと
- カーボニックは密閉容器に蓋をし、二酸化炭素を充填させて嫌気性発酵を促すこと
どちらも非常に強いフレーバーが感じられ、今までにないまるでコーヒーではないような味わいがあります。
また、アナエロビックは低投資で始められることに対して、カーボニックの機材は高価なものです。さらに管理が非常に難しく100g当たり¥3,000以上はしても珍しくはないでしょう。