” DECAF / デカフェ “の処理について(水抽出法、液体二酸化炭素法)

昨今スペシャルティコーヒーが賑わう中、DECAF(デカフェ)が注目されてきています。

ひと昔のデカフェというと、少しクセのある独特なものがほとんどでした。

そのイメージが覆されるほど、今のデカフェは美味しくなっています!

デカフェとは何か?どのような処理がされるのか?

知ってから飲むと、デカフェがより一層美味しくて楽しくなると思います。

カフェインとは何か?

まずはデカフェのことをお話しする前に、カフェインとは何かを理解しないといけません。

カフェインとは、コーヒー豆やカカオ豆・茶葉などに含まれる成分のひとつです。

カフェインが含まれる大体の量が以下の表です。

(100ml当たり)カフェイン量
コーヒー60ml
紅茶30ml
煎茶20ml
エナジードリンク70ml

1日のカフェイン摂取上限は約400mlです。

カフェイン摂取のメリット

近年注目されているのは、カフェインに含まれる抗酸化作用です。

体内の酸化ストレスから細胞を保護したり、脳の働きを活性化させ認知機能の改善にも関わっていると考えられています。

また、老化や様々な疾患のリスクを減らす可能性があるとされています。

その他にも、覚醒作用・集中力向上が挙げられます。

中枢神経を刺激し、眠気を防いで覚醒状態を保つことで、仕事や勉強の効率アップが期待できます。

デカフェとは何か?

デカフェは、コーヒー豆中のカフェイン(C₈H₁₀N₄O₂)を選択的に除去したものです。

主に、カフェインを90%以上除去したものをデカフェとして定義しています。

水にも有機溶媒にも溶ける“両親媒性”です。

この性質を利用して、水・二酸化炭素・有機溶媒などを使い、カフェインのみを溶かし出します。

カフェインはゼロではない?

コーヒーは現在の科学技術ではカフェインを全て除去することは不可能です。

なぜかと言うと、コーヒー豆の細胞壁にカフェインが強く保持されているからなのです。

現状、細胞壁を壊さずにカフェインを除去することが不可能なのです。

その理由から、最低でも0.1%は含まれてしまいます。


処理方法

それでは処理方法について説明していきましょう。

現在デカフェの処理に用いられる方法はいくつかありますが、今回取り上げるものは

”水抽出法”、”液体二酸化炭素法”

一番多く利用されているのは水抽出法になります。

水抽出法

スイスウォーター、マウンテンウォーター(メキシコ)、ジャーマンウォーター(ドイツ)などと呼ばれています。

共通しているのは、水が綺麗な国でしょうか。

水抽出法は、“溶解平衡”と“選択吸着”を利用して、風味成分を守りつつカフェインだけ取り除くという高度な分離工学プロセスです。

  1. 豆を温水に浸す
    → カフェイン+風味成分(クロロゲン酸、糖類、揮発成分)が水に溶ける
  2. この水を活性炭の微細孔に通す
    → 活性炭の表面は非極性が多く、疎水性の高いカフェインだけ吸着されやすい
  3. カフェインを除去した「風味成分を含む水」を再利用し、次の豆を処理
    → 水側の風味成分濃度が高いので、風味成分は豆からほぼ移動しない(平衡)
    → カフェインだけが濃度差で溶け出す

まず第一に、薬剤を使用しないので安全性が高いことが特徴です。残留物がないのでどんな方でも安心して利用することができます。

そして、活性炭の使用により除去効率(最大99.9%)が高いことが挙げられます。

多段抽出のため処理時間が長く、コストが高いことが挙げられます。

また、初期段階で一部の揮発性成分が水に溶け出しやすく、香りが少し弱くなる傾向があります。

液体二酸化炭素法

デカフェ技術の中では最も風味保持が良いとされる方法です。

別名、超臨界二酸化炭素抽出方法とも呼ばれます。

スパイスや香水の原料の抽出で使われることが多く、コーヒーではまだまだ見かけることは少ない技術です。

コーヒー生豆を 高圧下の CO₂(主に超臨界 CO₂) にさらし、カフェインだけ選択的に溶かし出すことでデカフェにします。

  1. 豆を湿らせて細孔を広げる
  2. 高圧CO₂を流す
    → CO₂が豆の微細孔に入り、カフェインだけ選択的に溶解
  3. 別の容器で圧力を下げる
    → CO₂が気体化 → カフェインが析出して分離
  4. CO₂は再循環し、非常にクリーン

非極性溶媒のため風味をほとんど損なわないことが挙げられます。

コーヒーの味を構成する主成分(クロロゲン酸類・糖類・酸性物質)は極性が高く、CO₂ は非極性なので、これらをほとんど溶しません。

また、CO₂ そのものは食品添加物なので、最終製品中に 残留するものが全く無く安全性が高いことが特徴です。

設備・処理コストが非常に高いので、最終的な製品価格が高い傾向にあります。

また、圧力容器、圧縮機、分離装置など機材が多くスペースの確保も必要とされます。


まとめ

デカフェは、コーヒー豆からカフェインだけを選択的に除去したコーヒーで、近年は技術の進歩により風味を損なわず美味しく楽しめるようになりました。

水抽出法では活性炭を用いて安全かつ高効率にカフェインを除去し、液体二酸化炭素法では非極性のCO₂を利用することで風味成分をほとんど傷つけずに抽出できます。

どちらも科学的な分離技術を用いたクリーンな方法で、カフェインを控えたい人や夜のコーヒーを楽しみたい人に最適です。

仕組みを知ることで、デカフェの奥深さと選ぶ楽しさがより一層広がると思います。

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