この仕事を始めて8,9年ほどが経ちました。
その間3店舗ほど勤務してきましたが、コーヒーの抽出のレシピはもちろんのこと
器具や設備は違うものです。
これは理想とする味や目的によって、お店やバリスタの個性による違いからきます。
もちろん正解はありません。
豆のポテンシャルを最大限に活かせる淹れ方やお客様(自宅ならご自身)が求める味のギャップを最小限に無くすために
バリスタがそれぞれに選定していきます。
器具だけではなく、材質も味に影響します。
今回はわかりやすく代表的な器具を例に違いを説明していきます。
ドリッパーの形状(製品・メーカー別)
HARIO V60
まずは王道で万能、バリスタの使用率がダントツで多い「HARIO V60」です。
コンセプトに『淹れる人が味を作ることのできるドリッパー』を掲げています。
味を追求するには打って付けですね。
プロ仕様な謳い文句ですが、特段そう言った意味ではありませんので安心してください。
誰でも楽しくコーヒーを淹れることができます。
形状は円錐形、12本の螺旋状(スパイラルリブ)に計算されたリブが入っています。
リブが下から上までついていることで空気の抜けが良く、液体が溜まりづらく設計されています。
ポット(ケトル)のコントロールでどんな淹れ方でも対応できる万能なタイプになります。
抜け穴が大きく1つなので、ポットのコントロールでタイミングや流量を変化させることで縦横無尽にメイクできます。
また、ラオスピン(空気の溜まりを無くすために水平にドリッパーを回すテクニック)などの合わせ技も可能です。
Kalita ウェーブドリッパー
1番の特性は専用のペーパーにある20個のヒダによる空気の層が生む遮熱性(熱損失量の低さ)です。
形状は円柱で底がフラットになっています。
3つの小さな穴から液体が流れ出ます。
誰でも比較的安定した抽出ができるのが利点です。
ただ、穴が小さいのでコーヒーが落ちきるまで時間がかかるので過抽出になりがちです。
KONO 名門ドリッパー
外見はV60と似ていますが、リブが違います。
縦にまっすぐ穴に向かって数本のリブが入っています。
このリブは中心値から穴にのみ入っていて、上半分は何も無くツルッとしています。
つまり空気の抜けをあえて悪くしています。
液体の落ちるスピードを遅くすることで深煎りの味わいが増します。
つまり浅煎りには不向きです。
店舗で使うにはオペレーションがやや遅くなるのが注意です。
台形ドリッパー(Melitta,Kalitaなど)
その名の通り形状は台形です。
穴の数はメーカーによって違いますが1〜3つになります。
しっかりと粉に液体が浸透してから落ち、
注ぐスピードに左右されないのが特徴です。
そのため初心者向きです。
やや過抽出よりな味わいになりがちです。
繊細なポットコントロールによる味の変化は表現のしにくいものになります。
ORIGAMIドリッパー
比較的新しい器具です。
名古屋のTRUNK COFFEEが共同開発した美濃焼き(2022年にAS樹脂が発売されました)のドリッパーです。
WBC(Word Brewers Cup)でチャンピオンが使用したことで一躍有名になりました。
20個の縦のリブが特徴で、コーノと違って上から下まで入っています。
抽出穴が大きめなので落ちきるまでの速度は早めです。
そのため、味わいはスッキリめで雑味は抑えれます。
フィルターはなんと円錐だけでなくウェーブフィルターも設置可能です。
比較的自由度が高く、色のバリエーションも豊かなのがポイントです。
ただ、カップに直接置けない場合もあるので注意が必要です。
別売りで専用のドリップ台が売っていますのでそちらを購入するようにしましょう。
製品名 | 値段 | 手軽さ | 丈夫さ | 向いてる豆 | 総合評価 |
---|---|---|---|---|---|
HARIO V60 | ¥300〜 | ★★★★★ | ★★★☆☆ | 浅煎り〜深煎り | 万能・追求型 |
Kalita ウェーブドリッパー | ¥1,800〜¥3,000 | ★★★☆☆ | ★★★★★ | 浅煎り〜深煎り | 安定型 |
KONO 名門ドリッパー | ¥1,100〜 | ★★☆☆☆ | ★☆☆☆☆ | 中煎り〜深煎り | 味わい重め・深煎り寄り |
ORIGAMIドリッパー | ¥1,300〜¥2,800 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | 浅煎り〜中煎り | オシャレ・自由度 |