近年コーヒーを自宅で淹れる事を習慣にしている人が増えてきています。
器具も進化を続け、比較的簡単に美味しく飲めるようメーカーも工夫を凝らしています。
豆の販売も1つの町に必ず1店舗はあるのではないでしょうか。
気分によって濃いめの苦さの強い豆を選ぶ日もあれば、
フルーティで酸味のある浅煎りの豆を選ぶ時もあるでしょう。
ここで疑問が1つあります。
浅煎りと深煎りのレシピは一緒で良いのだろうか?
深煎りは美味しくできるのに、浅煎りにエグみや酸が強いと感じることはないでしょうか?
「これは豆が美味しくない」と、思ってませんか?
そう決めるのは早いです。
今回はどうして同じレシピで全て美味しくできないのか私なりの考察も混ぜて解説していきます。
◦解釈◦
今回は
- 「湯温」
- 「ガスの含有量」
この2項目に分けてそれぞれ解説していきましょう。
成分
まず初めに、
コーヒーの成分は非常に多くあります。
「旨み、甘み、苦味、酸味」
「渋み、雑味、えぐみ」
分かりやすいもの感じやすいものは上記のものになります。
この成分は同時に溶け出すわけではありません。
前半に旨み、甘み、苦味、酸味、後半に渋み、雑味、えぐみが溶けやすい性質があります。
湯温
湯温の微妙な差で成分の溶け出し方が変わります。
高温は早く、強くコーヒーの成分を引き出し、
低温は遅く、弱くなります。
つまり、高温=溶けやすい・低温=溶けにくい
さらにコーヒーの味わいを構成する成分の中で苦味は高温のお湯により多く溶け出し、
酸味は低温でも比較的安定して抽出されます。
そして焙煎度の浅い豆は密度が高く(水分含有量)、成分が抽出されにくくなります。
低温のお湯を使うとうまく抽出がし切れず、抽出のされきらない酸味の尖った味わいになりやすい傾向です。
なので甘さや香りを引き出すには、高温のお湯で効率よく成分を抽出します。
逆に深煎りの豆は密度が低く成分が抽出されやすいです。
高温のお湯で抽出を行うと苦味が突出し、えぐみや雑味のある抽出しすぎな味わいになる傾向があります。。
ガスの含有量
まずはじめに、なぜガスが発生するのかと言うと所から話しましょう。
焙煎は火もしくは熱風で豆を焼くことです。
物が燃えるのに酸素が必要です。
豆に含まれる炭素に酸素が結合することで「二酸化炭素」に変化します。
コーヒーのガスの主成分はこの二酸化炭素になるのです。
つまり、焼けば焼くほどにこの化学変化が起こり豆に蓄積していきます。
深煎りの豆にお湯を加えたときにガスの膨らみが浅煎りよりも明らかに多いと感じませんか?
新鮮だからガスが多いのではないのです(新鮮だと豆からガスが放出される量が少ないからあながち間違いではないですが…)
では、このガスの含有量が抽出においてどう影響されるのでしょうか。
図を使って解説していきましょう。
深煎りはガスの力で浮力が多く働きます。
そうすると、「下部に液体・上部にコーヒー粉」という感じに分かれます。
この状態だとスムーズに液体がペーパーを通って透過していきます。
次に浅煎りです。
浅煎りは逆にガスが少ない分、浮力が働きにくい性質を持ちます。
なので「下部にコーヒー粉、上部に液体」となります。
深煎りと正反対の形になるのです。
こうなるとコーヒー粉が蓋をする動きになるので液体が透過されるのが遅くなります。
流れるスピードが遅くなると液体がコーヒー粉と触れる時間が長くなり、コーヒーの成分は多く抽出されることとなります。
つまり深煎りと同じレシピだと、浅煎りはえぐみや雑味を感じやすくなる傾向があります。
◦対応策◦
では以上を踏まえて味のバランスをとる必要があります。
トライアンドエラーでどんどん微調整することが必要となりますが、
理屈さえ分かっていればすぐに対応できると思います。
挽き目
荒くすることでペーパーの詰まりを減らすことができます。
そうすることで抽出のスピードを均一にしやすくなります。
なので浅煎りは深煎りよりも荒くすることをお勧めします。
豆のグラム
豆の量を減らすことで水分に溶ける量を調整していきます。
浅煎りはグラム数を若干量減らすことでえぐみ・雑味を減らすことができます。
◦まとめ◦
いかがでしょうか?
まずは深煎りをベースに考えてみると作りやすいと思います。
もちろん豆によって一概に言えない部分もあります。
まずはトライしてみて徐々に変化をさせて一番しっくりする落とし所を探して見てください。